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コモン・パームフライ
コモン・パームフライ
ウブドの木陰やヤシの木立の間をひらひらと舞う、実に興味深い蝶。それが『コモン・パームフライ(学名:エリムニアス・ヒペルムネストラ)』です。この蝶は、昆虫界における擬態(カモフラージュ)の非常に魅力的な例と言えます。オスは通常、暗褐色(あんかっしょく)で、羽の先端近くに青みがかった斑点があり、時には後翅(こうし)に小さなオレンジ色の模様が見られます。
しかし、真の「変装の達人」はメスです。メスは自らの身を守るため、バリ島で見られるカバマダラやマダラチョウのような毒を持つ蝶(マダラチョウ亜科)の姿を見事に模倣します。捕食者に「自分は不味く、毒がある」と思い込ませるために、黒い縁取りと白い斑点のある黄褐色、あるいは白い斑点のある暗褐色といった、毒蝶特有の模様と色合いを完全に真似るのです。この蝶の擬態は、まさに驚異的な生存戦略と言えるでしょう。
その名の通り、コモン・パームフライはヤシ科の植物に大きく依存して生きています。幼虫は、バリの庭園や当リゾートのジャングル周辺でもよく見られるココナッツや観賞用のヤシなど、様々なヤシの木を食草としています。ヤシの葉の間を縫って羽ばたくこの賢い「変装の達人」の姿を目にすることは、静かなウブドの風景の中に息づく、複雑な自然の美しさと驚くべき適応の力を静かに思い出させてくれます。